ジャンクな脳と記憶

本を通じて人生の幸福を考えています。

書評「売上最小化 利益最大化の法則」

 

 みなさんの多くは会社員かと思うが、もし経営者なら色々な経営の勉強をしているかと思うが、今回のように「売上最小化」というキーワードはあまり馴染みがないのではないだろうか?

 通常会社というのは「売上最上級主義」であり個人の成績も売り上げ目標という形で存在している事がほとんどだと思う。

 したがって「売り上げは有れば有るほど良い」的な風潮があり、「売り上げは最小化で」なんて言ったりしたら、それこそ戦犯のような扱いをされるのではないだろうか?

 だが、この本では「利益は最小でOK」という、どういう事だろうか?

 

 当然、売り上げがあって会社は成り立っているのだが、そこにはあまりに「利益」という当たり前の事が抜け落ちている場合が多い。

 営業マンであったり、営業部なんて場所は「数字!数字」と顔を真っ赤にしてオウム宜しく叫んでいる課長や部長がいると思うが、そもそも「営業部」というところは「売り上げの数字」しか見ていない場合が多く、その商品を売る事で得る利益などあまり興味が無いのだ。

 だが、当然そういう事を疎かにして、決算を迎えると「利益率」が低いという憂いにあう訳だが、その場合も「売り上げを上げればOK」的な発想で、利益を上げる頭などあまりないところが多いのではないだろうか?

 もっと言えば、利益が出ていても売り上げが低い場合はあまり評価されない、なんて事も多々あり、この「売り上げ額」という幻想は幅を利かせているわけだ。

   

 だが、その売り上げを上げるため、多大なるコストが発生したり、赤字気味の値引きやサービスを行うと考えたらどうだろう?その場合は売り上げが最小の方が、リスクが少ないと著者はいう。つまり「デカい売り上げ」はその分コスト過多であったり、リスクが高かったりするわけだ。

 

 「デカい仕事を取るには、当然それだけのリスクやコストがかかるのは当然だ」

 そう考えている人も多いだろうし、何となくロマンを感じる部分でもある。営業マンであったらデカい案件とるほうが良いに決まってると思うのはまあ当然だが、この利益というのを会社全体で考える必要があるという事である。

 

 利益が出ない会社は、いろいろな意味で社会に貢献していない。

 利益が出るという事は、顧客がその価値を認めたと考えたという事である。逆に利益が出ない場合は、そのサービスや商品をそれだけの価値が無いと思ったわけで、それでは消費者を喜ばせる事は出来ない、消費者を満足させなければ、利益も出ず、結果税金も納める事が少なくなり、社会貢献度も少なくなるという事だ。

 

 そろそろ色んな会社も、社員を含めて「利益」について真面目に考える時なのかも知れない。