ジャンクな脳と記憶

本を通じて人生の幸福を考えています。

書評「近畿地方のある場所について」

 

 

 

まず、先に行っておくと、このタイトルはずるいと思う。作中にも言及があるのだが、謎めいたタイトル、実際ある地域での伏せ字、幽霊に伝説、宗教とてんこ盛りではないか、これでは好奇心が揺さぶられるのも仕方がないのではないか。

 

これはいわゆるホラーなのだが、数々の資料を断片的に見せていく手法であり、提示されたルポやインターネットの書き込みの画面、行方不明のポスターなど、ひょっとしたら、現実にあったことなのかもと思わせるのが、次々にページを捲らせる要因となっているので、実際引き込まれる事と思う。

私も述べ2日ほどで読破したが、導入部分の方が「わからないものに対する恐怖」みたいなものがあり、おもしろかったが、後半に行くにつれて、その正体によっては興ざめする方もいらっしゃる事でしょうが、それでも本作の魅力は失われて居ないと思う。

 

いくつもの情報が提示されて、最後に段階的に繋がっていく様やなぜ、このような書き方をしているのかの疑問が明かされるのは、なかなかに快感だし、その手法はミステリーのそれである。

 

あらすじは、オカルト雑誌のライター目線で話が、進み、新人のライターの小沢くんが過去に起きた怪奇事件が、近畿地方のある場所に繋がっているという事に気づくことから、悲劇は始まる。

そのある地方には、山には怪物が棲み、そこにあるダムは自殺の名所である。また、山を見上げる場所に立つマンションは心霊スポットであり、おまけに麓には新興宗教の施設があるという。まさにホラーのてんこ盛り状態の場所である。

 

この「近畿地方のある場所について」はプロット好きには気に入る作品ではないかと思われます。

だんだん符合していく資料に萌えるひとは是非読んでみてください。