男は黙ってハードボイルド ピルグリム三部作。
意味不明なカバーデザイン。ちなみに2巻3巻も同じテイストだ。もう少し何とかならなかったのであろうか。
早川書房から発行している「ピルグリム」は、テロリストと戦う元アメリカ諜報機関の男、コードネーム「ピルグリム」の物語だ。
こう書くといかにもアメリカ的なありがちなストーリーだが、内容は息もつかせぬ面白さで一気に三冊読み進めてしまう筆力がある。
三部作と言うことで、中々ストーリーが進まない印象だが、「ピルグリム」自体の人生とテロリスト「サラセン」の出生の謎。この一見遅鈍とした書き方には大変な意味があり、むしろ関係ないストーリーこそ、この「ピルグリム」の真骨頂なのである。
最後に収束されていくサイドストーリーは圧巻だが、ラストはちょっと息切れのような感じだが、全体としては矛盾もなく楽しめた作品であった。
しかし、この作品カバーデザインと「ピルグリム」というタイトルで随分損をしているような気がする。これが、ジェームス・ロリンズ*1くらいど派手な文面やイラストであればもっと売れたと思うのだが、所謂映画的な作品というのはよくある表現であるが、この「ピルグリム」は小説ならではの面白さが溢れた作品である。
ハードボイルドにビビッと来る人は是非読んで見てください。
*1:シグマフォースシリーズの作者、アメリカ特殊部隊といつも悪いことを考えている悪党と言えば、大体想像がつくだろう