ジャンクな脳と記憶

本を通じて人生の幸福を考えています。

書評「プロセスエコノミー」

 

 今回は「プロセスエコノミー」を読んだので感想を述べる。プロセスエコノミーは現代、というか今のコンテンツビジネスを考える際に、「新しい考え方だなあ」と思うのと同時に、「昔からあったよね」とも思えるものですが、発明の再発明とも言える内容とも言えて、なかなか楽しめた。ぜひコンテンツビジネスを行っている方、あるいは行おうとしている方に参考にしてもらいたいと思います。

 

 まず、プロセスエコノミーを語る上で、従来のコンテンツや商品は「アウトプットエコノミー」と言われるものであったという事を理解しなければなりません。

 「アウトプットエコノミー」とは物やコンテンツを完成させて、その完成度から商品を売り出すものであり、こちらはもはや巨額な金が必要である。そもそも完成度を上げるには、際限ない技術の所為で途方もないお金が必要で、そのお金が無い人達が「アウトプットエコノミー」を実践しようとすると、途端にチャチに見えてしまうとか、何となくショボいなと感じてしまうでしょう。

 ところが、この過程をコンテンツする事によって、どのようにしてこの作品は生まれたのかを知る事が出来て、親近感が湧くし、たとえ予算不足であっても何故このような仕様となったのかを知れば、逆に応援したくなるという訳だ。

 

 このような未完成状態で公開する事し、それ自体を商品にするという事を「プロセスエコノミー」という訳だ。

   

 未完成が完成を超える。

 例えば昔、ASAYANのようなアイドルを育成する、その過程を放送するという事で視聴率を稼いだ番組があった。今で言えばNizu(綴りあってる?)とかもそうであろう。

 それらは実際デビューする前のアイドルの原石たちが、苦労してプロになる過程がそもそもコンテンツであり、感情移入が出来るポイントではないだろうか?いきなり現れてヒットを飛ばすのは、まさにずば抜けた才能を持っているか、巨額なプロモーションを投じられた者しか出来ない技であり、非凡だが、天才ではない人やそもそもお金をそんなにかけられないもの達は、その達成するまでの過程こそに金脈があると考えるべきなのである。

 

 企業の理念がこれからは重要。

 私の好きなブランドに「パタゴニア」があるが、この会社の理念がとても好きだ。「地球への影響を最小限にする」という理念のもと、不必要な買い替えを自制する事を推奨したり、リサイクル素材を利用したり、かつフェアトレードであったり、企業なのにミニマリスト思想を重視している事などです。

 もちろん営利企業なので、どこまで理念を突き通す事が出来るかは不明ですが、好きなくとも共感できる理念があれば、そこの商品を(多少高くても)購入しようと思うのです。これは、新しい世代に顕著で、理念が営利だけのストーリーを感じさせない会社の製品はたとえ安くても購入しないという事が起こっていると思います。

 

 コロナウイルスの所為で、世界はまた分断されてしまったが、コミュニティの形は姿を変え、価値観を変え、まだ存在しているという事です。とても面白かったので、興味がある方は一度手に取って読んでみる事をお勧めします。