ジャンクな脳と記憶

本を通じて人生の幸福を考えています。

「ハッピーストレス」

 

 ストレスと言うと、どうも良いイメージを持たない人は多いと思う。それもそのはず、誰もが心の平安を求め、心がかき乱される事を望む人など皆無であるからだ。

 だが、我々の体は現代の進化に対応できるほど進化をしておらず、まだ太古の体の反応を引きずったままだ。

 肉食獣に追われた事をストレスと感じたり、危険な狩場を記憶しておかなければ、あっと言う間に食べられたり、他の人間に殺されたりしてであろう。

 ストレスとはそもそも人間の防衛のために存在しているものなのだ。

 そんなストレスも、命の危険が少なくなった現代では、その効果のために蛇蝎の如く嫌われている。そのいわば警告システムは人の心を疲弊させ、壊し、時には命までも奪ってしまう。だから、人はストレスを忌避して、どうにかストレスをなくすようにしようと努力している。

 だが、ストレスは無くならない。なぜなら、ストレスとは我々生ける生物が持つ、自然な反応であるからだ。

 そもそも、ストレスとは何なのか?それすら分からず対処の仕方などある訳が無い。本書をヒントにして、ストレスとの付き合い方を考えてみよう。

 

 ストレスとは、まずストレスを感じている事の原因を考えてみる。

 私の場合であったなら、過剰なノルマ、口うるさい上司、身勝手なクライアントなどがあるが、これらは実際のストレスの起因であってもストレス自体ではない。

 ストレスとは、これらの事が原因となって体で起こる反応の事であり、要するに、これらを介して、腹痛であったり、気分が落ち込んだり、頭痛などが起こる事なのである。これがストレスという事になる。

 つまるところ、ストレスとは「外部」に要因があるのではなく、「内部」つまり自分人身が起こしている生理現象とも言える。じゃあ、何故それを起こすのかと考える必要がある。

 例えば、ノルマが達成できずに上司に罵倒されたとする。その時はその事が原因でかなり気分が落ち込む事もあるだろう。だが、それは一時的なものであり、それが過ぎたら、そこまでのストレスを感じない筈だが、実際は家に帰った後も沈んだまま、下手すれば何日も心が浮かないみたいな事があるかも知れない。

 これは、頭の中で繰り返しその事を思い出しているからである。太古で生きていた自分は危険を記憶させる為に、起きた危険な事を繰り返しイメージとして思い出させる機能を持っているためだ。だから、実際には終わった事が何度でも思い出されるのだ、これはマイナスなものが大きければ大きいほど、繰り返される。

 そんな風に実は自分の頭の中で繰り返される嫌な妄想が、あなたの体の反応として出てくるもの、それがストレスなのだ。これはもう生物である以上どうしようも無いので、受け入れるしかなく、逆にそのような事が起きたら、繰り返し思い出されないようにするしかないのである。

 

 まず、対処として、運動をする。

 個人的にはこれが一番効果があると思う。少し疲れる位の運動をすれば、脳がストレスを感じるエネルギーが運動に取られるので、その事を忘れやすい。さらに健康になっていう事が無いはずである。

 呼吸を整える。

 深呼吸をしよう。人は吸うときに交感神経、吐く時に副交感神経が発達する。副交感神経はリラックス神経であるので、大きく吸って、なるべくゆっくり吐くことが、副交感神経を発達させるコツである。つまりリラックスしろという事だ。

 ほかにも自然に触れるとか、美しいものを鑑賞したり、月並みだが好きな事を行うような事をすれば、ストレスに起因する事が起きたとしても、体に反応が出ず、そうすればどんな事があってもストレスを感じていない事になる。

 

 さあ、あなたもストレスの正体を暴いて、それを受け入れ、うまく付き合っていこうじゃありませんか!