書評「心」
先日、ある人を見た。その人は子供であったが、尊敬するに値する価値観を持っていた。
お目当ての物が売り切れで無く、明らかに見劣りする色のものしか残っていなかったのだが、彼らはこう言ったのだ。
「赤色を買いに来たけど、もう青色しか残っていないね。だけど、この青色人気だからいっぱい作っているから、きっと残っていたんだよ。僕は運がいいよ、この青色が残っているなんて」
マジか・・・・。
市場的に赤しか売れないのではないかと危惧していたものである。明らかに青は売れ残りであるのは、もはや明白である。彼がそれを気付かないわけがないが、
そういう考え方は中々出来るものではない、良い風に捉える事の難しさを、改めて思い知ったのだが、なによりもそれを若くして言える素晴らしさにおっさんは人間の器感じてしまうのだ。
前置きが長くなったが、今回は稲盛和夫氏の「心」を紹介する。この本は考え方次第で人は幸せになる。そして初心が大切という事を思い出させてくれる一冊である。
謙虚でいる事は難しい
シムシティというゲームを知っているだろうか、市長になりあらゆる暴挙を楽しむ(?)というゲームだ。このゲームで私はあらゆる暴挙とも言える政策を繰り返した。
電力が足りなくなれば、平気で沿岸部に原子力発電所をつくり、税金を上げ、税金を生み出さない貧民街には断固たる態度で火を放った。
つまるところ権力を手に入れた私は、非常に傲慢で最高に嫌な奴であったが、ポイントとして、その政策は本当に町のためになると思っているのが質が悪い。
つまり権力に目覚めると、本当に自分が偉いと思い込み、傲慢を抑える事が出来なくなるという事だ。
この本で教えられる事は、まず、
愚痴を言う前に出来る事をやろう、という心を持つ事
会社勤めだと、ついつい会社の駄目さばかり目につき、愚痴が多くなり、時には離職を考えたりするものだが、その前に自分でできる事を最大に生かす方法を考え、活かす事が大事という事を教えてくれる。
確かに嘆いても、愚痴を言っても、何も変わる事は無く、それならば、出来る事に没頭すれば、仕事が上向きになり、楽しくなるかもしれないのである。(もちろん、どうしようもないブラック企業もあるので、見極めは大事だが)
劇的な変化を待っていても、それは一生訪れない
あるタイミング、ある出来事などをきっかけに人生が変わる。もちろんそんなドラマテックな事が起こる可能性もあるが、殆どの人はそんな事は起きずに一生を終える。つまりいくら受動的に何かを待っていても、それは起きる確率は少ないのだ。だったら能動的に行動する事によって、劇的な変化は訪れるという事であり、この本では、
特別なきっかけを待つのではなく、自分で特別と思えばそれが特別なきっかけとなる。
でました!。やはり「心」の持ち方、考え方という事なのです。
与えられた環境での最大値を目指す
よく考えるのは、あれがあれば旨く行くのに・・・とか、
もっと金があれば幸せなのに・・・みたいな感情。
昔、私がバンドマンだったころ、
あぁ、ギブソンのギターがあればもっと練習頑張るのに!
みたいな、あの物があれば頑張れるみたいな感情が沸き上がり、使いこなせない幾つもの機材だけ増えていく・・・そんな経験はないだろうか。
私の好きな言葉で「足るを知る」という老子の言葉があるが、これは新しく手に入れるものや、過剰なものを得るという事ではなくて、今あるもので満足するという意味だが、人間の欲望は無限のため、今あるもので満足するという考えは、人生において幸福さに関係するので、この「足るを知る」という言葉は非常に好きな言葉なのだが、本書においても、この言葉の引用がされている。
コップの水が半分なら、もう半分しかないではなく、まだ半分ある、という考え方だ。
さて、結論を述べる。
どんな事でも考え方次第でどうとでもなり、どうせ考えるならポジティブに良い風に考えた方が何倍も人生は楽しくなるというお話でした。