子どもたちはいつだって主人公 新世界より
国産ファンタジーの傑作。一言で言えばそういうマトメになるかと思うが、この作品は読書後「うーむ」と思わせるものがある。
この先、ネタバレ部分があります。読み終えてない人は読書後読むことをオススメします。
オチというか、自分たちこそ異端という結果は、この物語がこの事を言いたいがために創られた事を意味していると思う。
超能力という感じの呪力を身につかた人間たちが、食物連鎖の頂点にいるという現代に通じる奢りがある世界。
そこには従属させているバケネズミという種族がいて、そいつらはあくまで人間の事を「神様」と呼んで崇めているようだが・・。
前半は主人公である早紀、悟、真理亜、守の青春劇とも言える内容だが、所々にこの世界のルールが明かされていく。
前半の最後はそのルールを逸脱した主人公たちに起こる運命を劇的に書いており、そのまま月日が流れて後半へ。
後半は急にホラー色が濃くなり、著者の貴志祐介のお得意なグロテスクな展開で怒涛のエンディングを迎える。
非常にスリリングで計算され尽くした物語に、読むのが止まらないことであろう。
で、この作品は結局、存在している頂点に立つものが見た世界はあくまで都合の良い世界の一側面である。
この世界の果にある世界(未来の世界)は果たして私達が想像する世界なのであろうか・・・。
オススメ。