ジャンクな脳と記憶

本を通じて人生の幸福を考えています。

貫き通す覚悟はあるか?スラムドック$ミリオネア

あらすじ

インドのスラム街の孤児「ジャマール」はインドで大人気のクイズ番組「ミリオネア」に出演する。

携帯電話会社のただのお茶くみの無学な19歳が、その答えを次々と当てていく。

その正解率に詐欺だと疑われるが、「ジャマール」にはクイズに勝ち続ける理由があったのだが、果たしてその理由とは?

 

 

今更ながら「スラムドック$ミリオネア」を解説する。

日本ではとっくに終わってしまった「クイズミリオネア」だが、貧富差の大きいインドでは勝ち抜くためには、こういった一攫千金の夢の材料としてこういった番組が流行っていて、なおかつドラマになるのであろう。

インドのスラム街の描写は凄まじく、思わず目を背けたくなる描写も多い。だが、それよりも圧倒されるのはその「インド」のパワーというか、この物語の主人公たちの「タフ」さがなによりも印象に残った。

 

映画は、「ジャマール」が警察に尋問される所から始まる。そして、その回答が詐欺かどうかを尋問されながら、回想していく、その回想の中で「ジャマール」の人生が入れ子のように回帰していく、それで何故回答できたのかという理由の説明をしている。

 

物語の核は主人公の「ジャマール」と兄の「サリーム」そしてジャマールが恋する少女「ラティカ」を中心に進んでいく。

少年の頃に起きた「ヒンドゥ教徒」による「イスラム教徒」への暴動で母親を殺された、二人の少年はストリートチルドレンとして生きていく事となる。

その中で同じように孤児であった「ラティカ」と出会う。

だが、孤児に忍び寄る「ママン」と呼ばれるマフィアの男に3人は連れられ、彼の元で暮らす事となるが、彼は育てた孤児の目を抉り、物乞いをさせる無慈悲な男であった。

「ママン」の元を逃げ出すのだが、その途中で「ラティカ」は「ママン」の手下に捕まり生き別れてしまう。そして時が流れ・・・。

 

この物語は「純愛」の物語であり、尚且つ「信念」の物語である。

対象となるのは「ジャマール」と兄の「サリーム」である。サリームはその心を悪に売り、成り上がるためにチンピラとなる。だが、ジャマールは自分の境遇など意に介さず、ただ自分の心のまま「ラティカ」と再び相見える事だけを考えている。

この信念の違いが二人を大きく引き離してしまう。

この二人の運命は、「金」という欲望の恐ろしさと同時に「愛」という無形のものしか追い求めなかったものの運命を表していると思う。

そして、スラムという最下層で起きている「絶望」を如実に表しているのではないだろうか?

日本でも一旦ドロップアウトしてしまった人間が、何かにすがるように一攫千金を夢見る事があるだろう。以前イギリスの若者が、

「この国で成功するには、サッカー選手になるか、ロックスターになるしか方法がないんだ」

的な趣旨のコメントをしていたが、これをサリームに言わせたら「この国で成り上がるにはマフィアになるしか無いんだ」

ということだろう。

 

人間どんなに不幸な境遇であっても、自分の心を売り渡してはいけないという事がこの映画を見て感じた事でした。

 

最後に孤児の友人でママンに目を潰された盲目の少年「アルウィンド」がジャマールに言うセリフ

 

「君は幸運、僕は違った、それだけのことさ」

 

 

不運すら、信念で克服できると、私は思えるだろうか?

 

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ジャマール。スラム街の少年、ミリオネアで次々と答えを当てていく。

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ラティカ。スラム街でジャマールと共に育つ。

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サリーム。ジャマールの兄。

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プレーム・カマール。ミリオネアの司会。

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ママン。悪党。