深い森の奥は魔界なのか。チャイルド44
子どもたちは森へ消えていく、アンドレイ・チチカロはロシア共和国の連続殺人鬼、のべ52人の子供を誘拐して殺害した。
この殺人鬼がここまで凶悪な事件を連続して行えたのは、当時のソビエト連邦の暗渠とした社会主義が産んだ怪物であり、そもそもそんな事件は存在しなかったという当局の見解から生まれた悲劇であった。
このチチカロの事件をモチーフにした小説が「チャイルド44」だ。時代設定や事件の背景がよく似た設定を使用している。
実際のチチカロの事件は「子供たちは森に消えた」に詳しいが、読めばノンフィクションにありがちな胸糞悪くなるのが必須だろう。
一方「チャイルド44」の方はミステリー小説ということで、犯人の異常性癖とか残虐な手口などは形を潜めて、純粋に物語りを楽しめる。
ただ、主人公のレオは社会主義国家の国家保安省の職員があんな考え方をしているのか?とリアリティーを欠く部分もある。
だが、エンターテイメント性はばっちりで、上巻、下巻とでているが一気読み必須であり、その意外な結末も「ああなるほどね」感じるであろう。
なお、続編の「グラーグ57」も出ているが、私としてはチャイルド44の方を押したい。
不気味な森の奥には怪物が潜んでいるのは、本当だからだ。