ジャンクな脳と記憶

本を通じて人生の幸福を考えています。

PS4に思いを馳せる。

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世界で出荷数が2500万台を超える大ヒット(2015年8月度時点)となったPS4、地味な印象だが、わかりやすくシンプルなものが今の時代に合っているようだ。

 

 

 

「俺はさあ、これ一筋、これ以外できないだよ」

と、何かを極めた職人はいうかも知れない。それと同じで、器用にいろいろなものを熟す人間は器用貧乏である場合が多い。

世の中の多様性に対応するためには、広く浅くの知識が必要である。

と偉い人は言うかも知れないが、むしろ専門性が高く、この人に聞けば何でもわかるくらいの人のほうが、分かりやすく重宝されやすい。

つまるところ、何でも知っているという事は何にも知らないと同じことであり、すべて中途半端になってしまう危険を孕んでいるのだ。

 

PS3は何でもできるが謳い文句だった

 

PS3が出た当時、ゲーマーを含むAV好きがにわかに盛り上がった。それは、ソニーがPS3をゲーム以外に使えるメディアステーションにすると言い放ったからだ。

ここで言うメディアステーションは昨今のスマートテレビのようなことであったと思うが、当時は驚くべき事にTVはTVでしかなく、しがないTV放送を見るだけの黒い箱であったのだ。

そこへ、われらがPS3は「やあ」という具合にやってきた。

人々はその高性能に正直ついていけなかったのではないだろうか?、時代はハイビジョンとアナログが混在して、ホームネットワークはDLNAの複雑な手順を使わなければ構築は不可能であった。

数々の動画フォーマットをサポートし、ネットワーク接続も標準装備。音楽もスーパーCDまで対応しているという贅沢ぶりだった。プロセッサも自前で、その高性能さで、アメリカの軍需施設で使用されたなどとニュースで伝わる始末であった。

 

PS3はいわば日本人の夢であったと思う。世界的に破竹の勢いで普及し、その地位を不動にしたPS2の後継として、期待された機能を全て搭載した夢のゲーム機だったのである。

これに対して、当時のソニーは「PS3はだだのゲーム機ではなく、メディアの中心となるハードウェアである」みたいな趣旨を言っていたが、実際そのような仕様であったし、そういうものが求められていると、経営陣は判断したのであろう。

よく日本人は幕内弁当的なものを好むと言われる。量は少しでも、何種類かのおかずが入っている方が良いという考え方だ。弁当なら栄養価を考えればそれでいいと思う、がことにPS3を買うゲーマーたちは、ゲーム機としての能力しか興味がなく、他の機能を沢山つけるより、ゲーム機能に徹底して価格を抑えてくれた方がありがたいのだ。

 

無論、ゲームをやる人口は限界があるので、それ以外の層を取り入れたいという思想は理解できる。だが、所詮ゲーム機はゲーム機だ、高尚な目的など必要なく、PS1をプレイしていた子供たちが、大人になってPS3をゲーム機として進化を愉しむというポジションであったのではないだろうか。

 

(現状でも私はPS1のデザインが好きだ。あのフォルムはゲーム機としてとてもコンパクトで好感が持てる。コントローラーも持ちやすく、軽く良くできている)

 

そんなPS3を得て、漸くPS4が発売されたわけだが、今度は逆の発想となっている。仕様を見てもミドル級のゲームパソコンとほぼ一緒で、目新しい機能は付いていない。今までの機能の踏襲といった具合だろうか。価格も考えられた設定で40000円弱は、この性能で安いと思える値段だし、何よりもゲーム機として順当の進化を得ていることに共感が持てる。

個人的にはリモートプレイがなかなか便利そうだが、機能としては地味な機能だ。

 

ライバルのXboxONEはPS3のような売り方だった。

かたやライバルであるマイクロソフトは、ほぼ同時期にXOBX360の後継機XBOXONEを発売しているが、その価格の高さがネックとなり販売数は苦戦しているようだ。(同時期13000万台でPS4の半分以下)

売りはXBOX360で好評であったKINECT*1を同梱したためPS4より割高で、そもそもゲーマーはKINECTを使わない。

任天堂のWiiでもそうであったが、一般人を取り込もうとすると、どうしてもその主たる層には受けない傾向にある(ここでいう主たる層とは、スマホゲーム等では満足できないゲーマーたちの事だ)技術としては凄いし、やってみるとなかなか面白いが、毎日やりたいかと聞かれるとそうではないだろう。

XOBXONEがセールス的にうまくいってないのは、ゲームとしてのハード部分は見てみるとよく似通っている。ゲームタイトルも同じものが出るものも多いだろう。

そこにKINECTなどの「他のこともできまっせ」的な発想で、逆を言えば「でも一万円高いけどな」と言っているのと一緒なのだろう。

したがって同じゲームができるなら、安価の方が良いと思うのは自然の摂理であり、経済的に合理的なのであろう。

 

それでもPS3の時にあった独自構想は、今の外部部品ばかり組み合わせたハードより魅力的であった事は確かだ。コスト的性能的に新規開発は難しいだろうが、いつかは独自開発プロセッサなどを搭載したハードを出して欲しいものである。

 

 

*1:体を動かす事でXBOXを制御できる、認識率がすごい