ジャンクな脳と記憶

本を通じて人生の幸福を考えています。

イースは良いっすYS

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ファミコンにしては頑張っているタイトル画面。どうやらビクターはこのタイトルで力尽きてしまったようだ。

Ysはイースと呼ぶ。日本ファルコム社から1987年にPC用として発売されたのをきっかけに、各機種に移植され、未だに新作が発売される人気シリーズである。

と、文章にしてしまうと何だか平坦な感じになってしまいますが、今回取り上げるのはその一作目「初代Ys」のファミコン版である。

実はこれは友人が所有しており、それを借りてプレイしただけであったが、(それもパチンコの景品であったらしい)人気パソコンゲームからの移植とあり、結構期待していた部分はあった。が、だいたいPCからの移植はファミコンとスペックが違いすぎて、別物になる可能性が高く、このYsもその予感をビンビンに漂わせていた。(つまり、これはハイドライド・スペシャルやファザナドゥ、信長の野望などのがっかり感と言えば良いだろうか)勿論ウィザードリィなどの神移植もあったが、それは町中でムジナを見るくらい希少な体験とも言えた。

 

「どうしちまったんだ日本ファルコム!」

ジョーのセコンドに着く丹下段平のように叫びたくなるのは(恐らく)私だけではなかっただろう。そして、最後のボス「ダルク・ファクト」を倒したあと、ジョーのように真っ白くなってしまった人も多であろう。

 

まあ、ファミコン版自体「ビクター」が開発を行っており、日本ファルコムが監修してなかったかも知れないが、ちょっとPC版との違いは大きいと感じた。

 

マイコンBASICマガジンの山下章氏の攻略がまったく役に立たないアレンジぶりで、当時最高水準と言われた古代祐三氏のBGMもところどころアレンジやオリジナルに差し替えられ「何故だ!」と連呼をしてしまう有り様であった。

 

当時は劣化移植と酷評された本作だが、見ようによっては中々できたソフトとも言えた。つまりYsというタイトルでなかったら、これはそれでアリなんじゃないかという事である。

 

グラフィックは結構頑張っており、中々の水準であると言えるし、当たり前だが、滑らかなキャラ移動やスクロールはPC版より快適だ。BGMもファミコンと思えば悪い方ではないと思われる。が、

 

Ysという名前を被るとこれでは納得出来ない作品になってしまうのだ。

これはどうしてもオリジナルを超えることは難しい典型的な例と言える。ましては能力的に劣るファミコンでオリジナルと同じように出来るはずがないのに、期待してしまうユーザーとの乖離によって起こる現象であるといえる。

実はMSXと言うファミコン並みの性能(実際はMSXの方が上なのだが、同等あるいは下等に扱われていた)で発売されたYsは日本ファルコム制で、こちらはちゃんとオリジナルと一緒の展開であった。

これと同じような移植であったなら、ファミコン版Ysはここまで酷評される事がなかったと思われるが、開発したビクターの社員がいらぬアイデンティティを発揮した事から迷走が始まってしまった。

 

「オレはオレの解釈のYsを作ろうと思う」

などと言ったのかも知れない。だが、たいていの場合オリジナルに自分の勝手な世界感をいれて成功した例はあまり無い。おまけに余計なセリフや設定を入れた為に、エンディングがなんかおかしな感じになってしまっている。これは実際プレイするとかなりがっくりする。私的には、最後の敵のダルク・ファクトが何故か爆弾で攻撃するのと、スタッフロールの「長い冒険ありがとう、これで君はまた大きくなった」という上目線の謎のメッセージが気になった。

この数々の珍移植が相当投書でもあったのか、後にでたYs2は以外に普通であった。

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PC版とあまりに違う草原のMAP。イベントでないと行けないところとかがあり、製作者のアレンジ魂が炸裂する。その炸裂は製作者に被弾することになる。

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妙に不気味なサラ。Ysと言えば元祖萌え系の走りであったが、そこはYs2のリリア登場まで待たなければならなかった。