ジャンクな脳と記憶

本を通じて人生の幸福を考えています。

共感できるかどうかはあなたが純粋かどうか?「どん底から最高の仕事を手に入れるたった一つの習慣」

ここに二人の若者がいる。

若者は友人であるが、性格は真逆である。

いつも刺激を求めるストレートな性格の「シバちゃん」

おっとりとして、安定さを求める「ターくん」

 

この二人は仕事を通して垣間見る人生の意味を考えていくのだが、

 

シバちゃんは大学を卒業後起業する。理由は通勤電車にて疲れた大人を見て自分もそうなりたくないと思ったからだ。

 

ターくんは一流企業に就職する。それが当たり前であったし、やがて社長になるという夢を抱いて勤める事となる。

 

この二人を通して、人生とはなにか?幸福とは何か?仕事とはなにか?問いかける内容だか、当然どちらに進んだとしても、困難が待ち受ける。

起業をしたシバちゃんはいつでも資金難に陥り、現実と理想のギャップに苦しむ。

企業人のターくんは、うまく評価されない社内で次第にやる気をなくしていく。

 

お互いに居酒屋で情報交換するうちに、自分たちが何を求めているのが、だんだんわかっていくのだが、その歳月は悲しいほど時間がかかる。

 

そして、50代まで彼らの軌跡は語られるのだが・・・。

 

と、こんな感じで別の道を選んだ二人の人生の違いを描くのだが、結末はあまりに違うが、どちらも共通して言えることは、成功が幸福ではなく、結末で良し悪しは決まらない

という事だ。

 

だが、その内容は、

 

  1. 感謝する
  2. 人を思う
  3. 諦めない

的な事で、面白いが旧世代的な価値観も多い。

現代風なら、別に諦めて良いし、もっと簡単に自分が擦り減らない方法があると考えるべきなのかもしれない。

物語として、本書は劇的な変化を遂げ帰結するが、仕事=人生というのは、あまりに前時代すぎる考え方だ。彼らは生きがいを仕事に見出したが、ここには圧倒的な悪意が欠乏している、世の中にはもっと理不尽が蔓延しているのだ。それに立ち向かう事はただの疲弊を現しているので、引くときは引かないと、おかしくなる

 

あと、あまりに(わざとらしく)強調されている。ターくんの会社の一体感などは(例えば5年もターくんが会社に復帰できるためにみんなで工面するとか、帰って来た時社員全員で拍手が巻き起こるとか)現実離れしていて、宗教くさい。

大体ブラック企業なら、辞めた人間を叱責する事はあっても歓迎する事はないだろう、そして、戻るための努力は自分の事が精いっぱいの人間に出来る訳がない。

 

仕方ない。

 

そう思うに違いない。

二人の主人公はビジネスという場で(そういう側面で語られているので仕方ないが)しか何事も図る事が出来ない事が違和感を感じる事だ。

無論、あなたが私より純粋であるなら、こういった仕事=人生という考え方も熱くて良いと思う。この本は若ければ若いほど感化できるのではないか、

 

この本のターくんの「社長になる」という初めの展望は、会社に就職するとき、幾つかの友人が発していた言葉と同じだが、いつしか誰もそういわなくなったのは、幸福とは別の場所にあるという事を感じたからなのだろうか・・・。