ジャンクな脳と記憶

本を通じて人生の幸福を考えています。

因習は恐ろしくも切ない。鬼の蔵

 

田舎にある因習と聞けば、あなたは何を想像する?落ち武者や幽霊、妖怪に悲劇、ともかく怪しくも美しい話が多い。

 

今回は、内藤了氏の「鬼の蔵」をレビューする。わりと純粋なホラーであり、実はその正体は科学的に・・的なものではなく、怪異は怪異のまま、本当に存在するのが本作の特徴だ。

つまりミステリーのような導入部もありながら、あくまで展開はホラーというわけだ。

 

盆に隠れ鬼をしてはいけない――。それが山深い寒村に佇む旧家・蒼具家の掟。広告代理店勤務の高沢春菜は移築工事の下見ため訪れた屋敷の蔵で、人間の血液で「鬼」という文字が大書された土戸を発見する。調査の過程で明らかになるのは、一族で頻発する不審死。春菜を襲いはじめた災厄を祓うため、春奈は「因縁切り」を専門とする曳家・仙龍に「鬼の蔵」の調査を依頼する。

あらすじより

 

コメディタッチの導入日から、山間部にある寒村に道の駅を造る事となったのだが、そこには呪われた蔵があって・・・。

主人公は女性で「高沢春菜」。もうひとりの重要人物は曳き屋師の「仙龍」、曳き屋師とは因縁がある建物を「曳いて」移動させる専門の鳶職の称号であり、今回の蔵には「鬼」が棲んでいるという。

その鬼に纏わる話は、2百年にも前に起こった事が原因であり、蒼具家の屋敷神「オクラサマ」と「鬼」との関係とは?

 

   

 

てな感じで、お約束の展開が待っているのだが、以外に読みやすく、因習ネタでありがちな、ウンチクもそれ程でもなく、主人公と仙龍とのラブコメ的なほっこりする部分もあり、怖いけど後味が悪い系ではないので安心して読めるのではないでしょうか?

 

この作品2作目に「首洗い滝」3作目に「憑き御寮」と続きますが、まず一作目を読むと登場人物が同じなので、入りやすいと思われます。