ジャンクな脳と記憶

本を通じて人生の幸福を考えています。

ロボットは役に立つとは限らない。ロボット・イン・ザ・ガーデン

 

我々が考えるロボット、あるいはアンドロイドというのはどういったものであろうか?

的確な判断をして時には主人を守り、身の回りの世話を焼いてくれる。そんな様な存在であろうか?

映画「オートマタ」のように自我を持ったアンドロイドの悲哀を描いた作品もあり、アンドロイドが自我を持つと、問題になるのは「人間」のほうとなるのが分かる。

 


ロボットと人間(ダメ)のハートフル・コメディ


 

この物語は所謂ファンタジーなのだけど、ポイントが幾つかあって、

主人公が果てしなくダメ男

その妻もドラマのようなアメリカ人のようなウザイ女(イギリス人だけど)

ロボットが役立たず。

 

これだけ羅列すると、どうもダメ人間讃歌みたく思えるが、このタンクと呼ばれるロボットがダメ人間ベンと再開する事によって、再生していく物語なのだ。

 


あらすじ


 

AI(人工知能)の開発が進み、家事や仕事に従事するアンドロイドが日々モデルチェンジする、近未来のイギリス南部の村。法廷弁護士としてバリバリ働く妻エイミーとは対照的に、仕事も家事もせず親から譲り受けた家で漫然と過ごす34歳のベン。エイミーはそんな夫に苛立ち、夫婦はもはや崩壊寸前。
 ある朝、ベンは自宅の庭で壊れかけのロボットのタングを見つける。「四角い胴体に四角い頭」という、あまりにもレトロな風体のタング。けれど巷に溢れるアンドロイドにはない「何か」をタングに感じたベンは、彼を直してやるため、作り主を探そうとアメリカに向かう。そこから、中年ダメ男と時代遅れのロボットの珍道中が始まった……。

あらすじより

 

ベンは過去にしがみついた中年で、そんな旦那に嫌気がさしている妻エイミーとの間柄も風前の灯火。

そんな中、ガーデンの端に佇む古風なロボットを発見した。

ロボットは「タンク」「オーガスト」しか喋らず、どうやら「タンク」というのがこのロボットの名前らしく、やがて感情移入したベンは「タンク」を治すため、旅に出かけるのだが・・・。

 


タンクを子供と置き換えると


 

要するにタンクは子供なのだ。その言動も子供らしさが窺い知れるのだが、当然子供である以上、誰かが世話を焼いてやらなければならない。

ベンは自分はどうしようもない奴と自覚しているが、それでも必要とされていると感じた時、魂は元の尊厳を取り戻す事が出来たのであろう。

タンクとの冒険は世界中をまたに掛けて行われ(東京もある)ついにタンクの生みの親を探し当てる。

そこでベンたちが目にしたのは・・・。

 


人間はもろく切ない


 

この物語はタンクの可愛らしさばかりクローズアップされているが、ベンのような自分がかつての自分より随分劣ることを気にしている男性は多いと思う。何かを育てる事は、実は自分自身を育てているという事をこの作品は教えてくれる。

 

 ロボット・イン・ザ・ガーデン (小学館文庫)