恐ろしいものは目に見えない。忌録
恐ろしいものとは何だろう?映画リングのような幽霊が現れて、あなたの目の前にて何らかの呪詛を唱える事であろうか?
ゲーム「バイオハザード」のように死んでしまった人間が蘇り、あなたに襲いかかって来ることだろうか?
実際の恐ろしさとは「よく分からない」という物が一番怖い。
もっともらしく因果関係が分かるものは、実際この世の中には殆ど無い。多分こうだろうという当たりを付けるだけで、結局は原因も結果も気づかないままなのだ。
そう、人の死さえも。
事件性がないものは全て「心不全」と片付けられるのもその死の原因が不明だからだ、だが不明では誰も納得出来ないので、それっぽい名前を付けているに過ぎない。
で、今回はホラーの新境地「忌禄」である。
この本、一人暮らしとかだったら本気で読むのを止めた方が良いと思うレベルである。
内容はオムニバス形式となっており,
- みさき
- 光子菩薩
- 忌避
- 綾の一と。
以上の4篇で構成されている。
中でも「みさき」は本当にあった事のように描かれており、舞台の古墳の地図や写真まで載せている凝りようだ。内容は、消えてしまった子供「みさき」を探すため、両親は藁にもすがるような気持ちで降霊会を行うのだが・・・。
何故、みさきは居なくなってしまったのかその真相が怖い。
4篇目の「綾の一と。」はインターネットに放置された幾つかのWEBサイトを上手く利用していて、ちゃんとリンクもついているのが、虚構と現実を繋いでいるようで面白い。
2篇目の「光子菩薩」は不気味で、最後の見ては行けない菩薩の絵を本当に呪われるようで見るのが勇気がいる。
3篇目の「忌避」は手に入れたフロッピーディスクに記載された「家」の話でこれもゾッとする話だ。
内容もそれほど長くないが、怖さはお墨付けです。夏はマダですが、怖い思いをしたい方是非読んでみてください。