ジャンクな脳と記憶

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老人が元気な世相。黄昏に眠る秋。

20年前に起きた幼児行方不明事件。スェーデンの避暑地であるエーランド島を舞台に、引退した船長「イェルロフ」、居なくなった子供「イェンス」はイェロフの孫である。イェンスは海に落ちて死んだ事となっていたが、イェロフはそれを信じてはいなかった。そんな中、彼の元に居なくなった少年「イェンス」のサンダルが郵便物として彼の元に届く、彼は昔エーランド島を震撼させた犯罪者「ニルス」の仕業だと思い、イェンスの母親「マリア」を呼びよせ、事件を調べなおすのだが。

 

さて、北欧の傑作ミステリー「黄昏に眠る秋」を紹介しよう。同じスェーデンの小説だと「ドラゴン・タトゥーの女」や「特捜部Q」などが有名だが、こちらは映像化こそされていないが(地味ということだろう)それこそ、その2作に劣ること無い良質な作品なのである。

 

スェーデンの田舎である「エーランド島」は寂れた港町であり、ここ最近避暑地として段々リゾート化が進んでいるが、夏を越すとどっと人の出入りが減ってしまい。更に物語の舞台であるステンヴィークは、さらに田舎と来ており、今回の事件の舞台が秋という事で、始終物悲しさを醸し出している。

 

この作品の秀逸な事に、行ったこともない北欧の寂れた田舎の雰囲気が十分に伝わって来ることだ。物語は戦前から現代まで大きく動くが、古臭さは感じず、十分有り得そうな事件であり、また最後まで飽きさせない犯罪者「ニルス・カント」の不気味さなど、ぐっと引き込まれる事否応無しです。

また、この作品は四部作の一部という事で、魅力的な登場人物にまた会えるのも良い部分ではないだろうか。

 

さて、齢80位の老人である主人公は、よくある主人公のように当然腕っ節は無いし、少し耄碌しかけている。持病のリューマチが痛みだすと、もう歩くことすら困難となるが、事件の真相を見抜く力はずば抜けており、年をとっても頭脳がしっかりしていれば、いつまでも若いという事を改めて感じる事ができた。

 

まとめ。

じっくり読むタイプのミステリーをお探しなら、ぜひ手にとって見てください。

派手なカーチェイスも銃撃戦もありませんが、リアルな結末と人の優しさがどう言う形で捻れていくのか、考えさせる作品です。