夢はでっかい方が良い。人類総プログラマー計画。
あらすじ。
ユビキタスエンターテイメントの社長清水亮による著書。
清水氏の考えと現実への実現さの困難を描いたドキュメンタリー。
経営者とプログラマーとしての資質の両立が難しい事を説いている。
最後は情熱や夢という青臭いものが大事と言うことを改めて考えさせられる。
まず、ユビキタスエンターテイメントという会社の社長という事で、自伝的な内容なのかと思ったが(そういう側面はある)清水氏が思い描くタイトルにもある「人類総プログラマー計画」というものの実現のための「プロダクト」を作るためのドキュメンタリーと言った方がより正解であろう。
もともとユビキタスという会社はソフトウエア会社であり、この本の当時はガラケー向けのコンテンツを作成していたらしいが、それなりに成功していたようだ。
しかし清水氏は、誰でもプログラムできるハードウエアを作る事を決意して「EnchantMoon」というタブレットを造る事となったのだが、それが思った以上に困難であるし、具体的に清水氏が思い描くものが上手く再現されない事に対する葛藤や不安、そして希望を出来るだけ具体的に描いている。
途中で「EnchantMoon」の開発の話が中心になり、「人類総プログラマー計画」があまり言及されないのはどうかと思うが、その内容には引き込まれるものがある。
少し前の話なので、ソフト会社がベンチャーとして熱をかなり浴びていた時代であるがゆえに、読んでいてもその高揚感が読み取れる。
また、清水氏は絵に描いたようなエリートだが、それにしても人材が優秀な人ばかり集まって来るのは、やはり清水氏が「夢」をもっているからだと思う。
「夢」をもっていない経営者というのは、やはり魅力に欠けるし、金が全てでは無いと言うつもりはないが、やっぱり最後は「金」ではないと人は思うものだ。
そういった人間性に人は引き寄せられるのであろう。
私もユビキタスの作成したJacascriptライブラリ「Enchant.js」をつかっているので、そのプログラムのコンセプトは理解しているつもりだ。
また、そういったオープンプログラムがどういった経緯で出来上がるのか、何故無償で使用できるのか、それを造ることで人はどのように社会に貢献して、富を得るのか、この本で一番感じたのは、
「夢を失ってはいけない」
という事なのではないだろうか。