ジャンクな脳と記憶

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ハリウッド映画的なアクション小説 ジェームスロギンズ「ケルトの封印」

なんとなく絵が浮かぶ、これは映像化を意識しているのか?的な作品をポンポン出している「ジェームスロギンズ」の「シグマフォース」シリーズの6作目の作品にスポットを当てて見たいと思う。

 

このシグマフォースシリーズは、アメリカの特殊部隊であるシグマフォースの隊員である「グレイソン・ピアース」通称「グレイ」とその仲間たちが、謎の組織「ギルド」と闘いながら、古代遺跡そして最新科学も織り込んで活躍するシリーズである。

と、ここまで来ると、健全な男子なら思わず反応してしまう「古代遺跡」「特殊部隊」などの琴線を触れられるキーワードに胸が踊ってしまう事だろう。

インディージョーンズとミッションインポシブルが合わさったような躍動感。そんなよく分からないコピーが似合いそうな本作は、毎回お約束の「ギルド」が何かを企むも、寸前のところでグレイ達シグマフォースに看破されてしまう。

ココらへんは、もうドリフのノリなのではないだろうか?。

誤解がないように言っておくが、このシリーズは決してつまらないわけではない、歴史的考証あたりはとても面白いと思うのだが、なんだろう、だが一番好きにはならないであろう的な作品である。

 

それと言うもの、なんか主人公のグレイの印象が薄い気がする。もっと言えば、アメリカ特殊部隊のエリートというだけで、親近感がまったく沸かないのを差し引いても、グレイの勧善懲悪的な性格は、あまり人間味が無い気がする。

あと、謎の女セイチャンの過去が今回は少し明らかになるのだが、結局この女も実は良い奴的な設定になって来て、一作目*1マギの聖骨に出てきた時のように残虐で冷徹なほうが作品としては面白かったんではないだろうか?

 

みんな結局良いやつで、悪いのは組織「ギルド」という図式はわかりやすいけど、少し安直である気がする。そして、なによりも主要人物が絶対死なない、という安定感がこのシリーズを緊張感がないものにしている。

これは、ジェームスロギンズがシリーズを続けるうちにキャラクターに愛着が湧いてしまったからだろうか?

そのあたりもハリウッド映画的なのだろうか?

歴史的考証もダラダラと細かい説明が無いのも、ある意味良い気がするが、もう少し掘り下げていった方が物語に厚みがでる気がする。(そのへんはダヴィンチ・コードのダン・ブラウンの方が面白い)だが、これでいいのだ、こちらはきっと大衆に向けた娯楽作品であり、多くの読者は地味な歴史的物語より、派手なアクションシーンのほうが好みなのだ。今回も派手にアクションシーンが織り込まれている。

 

という訳で、どのシリーズから読んでも既視感が半端ない「シグマフォース」シリーズ、個人的にはマギの聖骨が一番おもしろかった気がするが、この「ケルトの封印」も中々面白いですよ。そして著者「ジェームスロギンズ」の執筆スピードは半端ないので、すぐ新しいシリーズがでるので、続編が何年も待たされるのは辛い人はこのシリーズを読もう!次から次にでるので心配無用ですよ!

 

 

*1:シリーズでは2作目にあたる