穴があったら入りたい?ルイスキッカー穴。
子供向けのものは、大人が考える子供向けとは大きく乖離している。
つまり、ベタな子供向けのものというのは、やはり子供の心に響かないのだ。子供は子供で政治的なものを喜ぶ必要はないし、結果子供が好きなものは、やや危険なものという事である。
これは子供に限ってではなく、奥の浅い、みんなニコニコな物語りというのは結局、なにも語っていないと言うことなのだ。
余談だが、私が小学生のころ童話を自分で作るという授業があって、わたしは登場人物が皆殺しになる物語りを書いたのだが、学校の先生は私の将来を危惧するくらい心配したが、クラスメイトには馬鹿受けであった。
つまり、子供だましのものは、作り手が子どもというのを舐めているのだ。そもそも子供にヒットしているものは大人が楽しめる内容である事が殆どではないだろうか。
で、ここまでが前置きだ。
ルイスキッカーの名作「穴」は児童向けとなっているが、ところがどっこい、これは大人が読んでも引き込まれるほどの見事な作品なのだ。
ふとっちょの中学生スタンリーはまったくついていない事ばかりであった。それはひいひいじいさんが昔しでかした事が起因しているといつも思っていた。そして、最悪なことにスタンリーは泥棒のレッテルを貼られ(もちろん冤罪)その懲罰としてグリーンレイクキャンプという更生プログラムに送られる事となってしまうが、、、。
ふとっちょ、中学生、運動も勉強も冴えない男の子。
じつはこのダメさ加減は、少年小説ではヒーローの資質があると言う事と同義なのだ。
かくして、キャンプでの更生生活は思わぬ展開になっていくのだ。
児童書と言う事でサラッと読めて、後味も良い。私が創作した作品はみんなの心を暗くしたが、この本は、そのセリフにそういう意味があったのだな。と関心してしまう見事さです。
子供に読ませるなら、こういった構成が見事な作品を読ませると本好きになるとおもうなあ。