ジャンクな脳と記憶

本を通じて人生の幸福を考えています。

男の願望なのか?鑑定人と顔のない依頼人

 

 

映画「鑑定人と顔のない依頼人」を視聴した。

この作品リアルタイムで見たかったのだが、マイナーすぎるタイトルからか、田舎では上映している映画館が少なく、モタモタしているうちに上映が終わってしまったのである。

アマゾンプライムビデオにて、この作品を発見して、早速見てみた。

 

悲しすぎるおっさんの希望的作品だった。

主人公のヴァージルは美術の鑑定人として成功を納めていた。彼は60歳を越す年齢であったが、未だに結婚はおろか、女性と付き合った事すらない。

美術品に造詣がが深く、その価値を見抜く慧眼をもって美術品の本当の価値を隠し、オークションにて仲間のビリーと共謀して、名画(女性ばかり)の美術品を手に入れ、自宅の隠し部屋に飾ることを生きがいにしていた。

そんな中、美術品の整理をしたいとクレアという若い女性から依頼を受けるが、このクレアは対人恐怖症と広場恐怖症でヴァージルの前には姿を表さない。

 

最初はあまり乗る気ではなかったヴァージルは、だんだんこのクレアに関心抱き、自分の信念を曲げていく。

物語りをミステリアスに飾るのは「オートマター」と呼ばれる自動人形の部品たち、それらがヴァージルをこの屋敷の鑑定から手を引かせない理由となっていき、さらに女主人の蠱惑とした振る舞いに、さらに深みにはまっていく・・・。

 

主人公の演技が良い。さらに映像も綺麗。

ヴァージル役のジェフリー・ラッシュがまたいい演技をしています。まず声が良い、心に闇を持った鑑定士という役どころにぴったりです。また、クレアに恋をする場面では、まるで少年のような行動をしてしまったり、「わかるわかる」と思った諸兄もいるのではないか。

というのもヴァージルさん、もう初老というのに女性に触れることを恐怖と思い、2次元の絵画に思いを馳せるなんて、最近の2次元大好きな人が同じ境遇でドキッてしてしまうのではないだろうか。

この手の映画で出てくるのは、必ず相手は若い女性、しかも美人。

この部分は作品としては当然のチョイスであるが、実際は男のエゴの産物なのであろう。

最近のリサーチの記事で「50代独身男性は20代後半か30代前半の女性と結婚したい願望がある」と書いてある記事をみた。

なるほど、男はみんな若いのが好きだ。

むかし、森高千里が歌っていた。

 

♪私がオバサンになっても(中略)とても心配だわ、若い子が好きだから

 

その通り、男はオバサンがあまり好きではない、自分がおっさんになっているのにもかかわらず、同世代の女性には見向きもしないのだ。

 

それはさておき、実際恐怖症の女性が十何年も家に閉じこもっていたのなら、その容姿はかなり特異なものになっているに違いない。少なくともあんなに美しく垢抜けているわけはないのだ。

何か事件が起きると、それが若い女性であった場合、美人〇〇が!という見出しをつけた方が記事が読まれるらしい。だから世の中の記事には美人が溢れている。

 

どうしようもない結末だが、解釈の仕方で希望に変わる。

 

結末はどうやら不評であるようだが、これはその後日談が語られていないからであろう。この映画2度見を推奨しているらしいが、確かに伏線がいっぱい仕掛けられている。その中のヴァージル自身の言葉。

 

どんな贋作にも本物が存在している。

 

これがあのエンディングの先を示唆している(と思う)

 

偽りの中から、真実の愛が生まれる事もひょっとしてあるかもしれない。

けして加藤茶夫婦の事を言っているわけではない。

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